ポートランドとブリックリンが注目されているけれど日本にとって珍しいわけではないのに。
「これからのアイディア」をコンパクトに提供するブックシーリズの第11弾。
最近、日本でアメリカのポートランドやブルックリンが特集されるのはただ一過性のブーム(ファッション)だろうと思っていました。その前は北欧ブームだったし。。
例えば、ミスタードーナツの「ブルックリンD&D」どのあたりがブルックリン?なのか全然かわからなかったし、いわゆるニュアンスやテイストで売れてしまう日本市場だからあまり深く考えていませんでした。
でも、この本を読んで、ちょっとスッキリ。
まえがきで著者は
省略〜本書で紹介するムーブメントの多くは、すでに日本でも紹介されています。けれども、それがどういう社会的な背景から登場して、人々がどういうメッセージを発信しているかという視点は、その過程で抜け落ちてしまうことが多いように感じています。〜略。
そのとおり!と思いながら、目次を読み、特に第一章と第二章に興味があったので読んで見ることにしました。
ヒップな生活革命 著:佐久間裕美子
第一章 アメリカに新しい変化の波が現れた
第二章 食を通して生き方を変える
第三章 足元を見つめなおしてモノと付き合う
第四章 自分の場所を作る文化発信のチャンネル
個人的な感想
アメリカのムーブメントは日本に伝わるのは早い。、日本国内に一気に広まるけれど、その逆パターン(日本でブームになってアメリカに輸出されるパターン)はなかなか無いなぁ。日本でもポートランドやブルックリンのような大量消費から地産地消や品質への価値観のシフトは前々からあり商品や風潮は日本初でもあるはずなのに。
やっぱり世界に向けてのプレゼン力が足りないのか、マスコミが最先端=海外にものを求めているのかなとちょっと悲しくなりました。あとデザイン性も重要なんだろうなー。参考になることが沢山あるので、これから自分が日本で何ができるか考えなくちゃですね。
この本からの個人的な覚書。
- 新しい文化の潮流は、自分たちが消費するものの本質を強く意識することから始まっている。
- 新しいアメリカ人のスペック:大手のチェーン店や量販店は避けて、地元の個人経営の店を好み、健康志向で、添加物や保存料がはいった食品を嫌う。お気に入りの交通手段は自転車。電話はiPhone,PCはMacでテクノロジーの恩恵は享受しながらも、アウトドアやガーデニングが好きで、週末は郊外のセカンドハウスやキャンプに出かけて、あえて原始的な環境に自分を置いたりするタイプ。
- 新しいアメリカ人のスペック:主流と共存しながら、自分の商売や表現を通じて自己の価値観を主張していること。
- ヒップスター(hipster)
- ヒップスターの文化の代表格が「サード・ウェーブ・コーヒー」ポートランド、カルフォルニア、ニューヨーク中心に起きているアルティザン(職人)系コーヒー文化
- ポートランドは1960年代に、高速道路建設を拒否し、70年に「都市成長境界線」という制度を策定して、ポートランド市と市外との境界線を引いたことで、市を維持しやすい規模に留めて郊外化することを防ぎ、周辺地域の農業や林業を守る意図があった。
- 雑誌PenやElle a table、FIGAROなどに掲載されているお店の成り立ちや特集される意図がよくわかります。
- 今やひとつの文化圏となり常に注目されているブルックリン。コミュニティ性や独立精神が強い地域に発生したムーブメント。
- 消費は「より多く」から「よりよくへ」
- 作者: ジョン・ガーズマ,マイケル・ダントニオ,有賀裕子(あるがゆうこ)
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2011/07/20
- メディア: 単行本
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- ブルックリンでの食のアルティザン(職人)文化 フリーマーケット。売り手の多くが少量生産の作り手で、オーガニックの食材や調理の工程にこだわった売り手が集まってくる。
- アリス・ウォータースのレストラン「シェ・パニース」と学校での食育プログラム。→日本でよく取り上げられているこの方の背景がようやくここで分かった!
- 作者: アリスウォータース,NHKエンタープライズ取材班,Alice Waters
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/09/26
- メディア: 大型本
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- 贅沢から実質へのシフトが起こっている
- 誰もが知っているような高級ブランドの商品よりは安いけれど、大量生産の商品よりは確実に高いものを購入する。それ自体に社会を変える可能性はないかもしれないが、自分が支持する試みに投資するという充実感が商品を購入する行為にプラスアルファの価値を付加する。
- 消費至上主義に対する疑問、ヘリテージを見直す取り組み、地元のコミュニティで作られたものを大切にしようとするムーブメント
物事の背景を知るってことは大切だなと改めて感じました。
ぜひ、ご覧くださいませ。